令和3年6月26日(土)に第22回やまぶき会医療分科会総会・講演会(オンライン)が開催されました。
第 22 回 やまぶき会医療分科会総会・講演会式次第
総会:17:00~17:30 司会 近藤 玄会長
1、開会の挨拶 近藤 玄会長
2、来賓ご挨拶 やまぶき会会長 富 喜久夫先生
3、来賓ご挨拶 洛南高等学校校長 北川 辰雄先生
4、報告
令和元年度・2年度事業報告
1)令和元年度:東寺での見学会、総会、懇親会報告
2)令和2年度:非接触型体温計寄贈、医療相談 2 件
5、議事
議題 1 令和2年度会計収支決算 田中 慎一郎副会長
監査報告 平野 裕之副会長
議題 2 令和3年度事業方針 近藤 玄会長
議題 3 役員人事について 近藤 玄会長
近藤会長 1 年延長案、現在の役員の再任について
新任役員挨拶(web 参加) 大内 健二郎先生
6、協議題 その他 近藤 玄会長
7、閉会の挨拶 立石 健人副会長
講演会:17:30~18:30 講師紹介 細田 正則副会長
1、山本 舜悟先生 京都市立病院感染症科(録画)
「新型コロナウイルス感染症のこれまでとこれから」
2、荘子 万能先生 BonBon 株式会社 (ライブ)
「「か」から「と」へ:医療の一隅を照らす生き方」
閉会の挨拶 細田 正則副会長
校歌エンディングロール
第22回やまぶき会医療分科会総会・講演会 開催のご報告
令和3年6月26日(土)に医療分科会総会・講演会をオンラインで開催させていただきました。
昨年6月に予定していた第21回総会・講演会・懇親会は新型コロナウイルス感染拡大により中止となりましたので2年ぶりの開催となりました。
母校の視聴覚教室から配信でしたが、会場にお越しいただきました高校校長 北川辰雄先生、やまぶき会会長 富 喜久夫様をはじめ学校関係者の皆様、オンラインでご参加いただいた30数名の皆様方には厚く御礼申し上げます。
総会は医療分科会 近藤会長の開会の挨拶にはじまり、富会長と北川先生のご挨拶をいただきました。
総会議事と会計報告を行い総会は無事閉会。
続いての講演会では、
講演1「新型コロナウイルス感染症のこれまでとこれから」
京都市立病院感染症科 山本舜悟先生(1996年卒業 菊池学級)
事前収録のビデオ配信でお届けしました。
山本先生は2020年1月31日に京都市立病院に入院された京都府第1例目から今日にいたるまで、京都府下の新型コロナ感染症治療のまさに第一線でご尽力されております。
新型コロナウイルスの基礎知識にはじまり、京都市立病院での実臨床でのご苦労や昨年から現在までの国内での感染状況など最新の知見を含めてご紹介いただきました。
COVID-19における年齢と重症化リスク、臨床経過の特徴についても実例をご提示いただきながらわかりやすくご解説いただきました。
「初期症状が非常に軽い、または、ほとんど自覚できない人がいる」
「普通の感冒は発症から3日を過ぎれば症状はピークを過ぎる」
という山本先生からのアドバイスは、内科医である私にもとても腑に落ちました。
新型コロナウイルスの感染様式についても詳しく解説いただき、医療現場で、あるいは学校生活を含めた日常生活でどのような点に気をつけるべきかなどお話しいただきました。
最後に新型コロナウイルスワクチンについてもご解説いただきました。
非常に盛沢山な内容でしたが、実臨床での胸部CT画像から最新の論文の引用などをまじえながらご講演いただきました。きっと皆様方の明日からの臨床や日常生活に役立つことと思います。
講演2 「か」から「と」へ ~医療の一隅を照らす生き方~
BonBon株式会社 代表取締役 荘子万能先生(2011年卒業 菊池学級)
医師としては異色のご経歴のためご略歴をご紹介します。
2018年大阪医科大学卒業、同年医師免許取得、学生時代より医療×AIの研究開発に携わり、名古屋・南生協病院入職と同時に2018年BonBon株式会社創業、2019年8月NEDO「人口知能の説明可能性に関する技術開発」採択、9月にBonBon株式会社フルタイム化。医療の可能性を広げる活動に日々取り組んでおられます。
ご講演から内容を抜粋してご紹介いたします。
「か」から「と」とは何か?
事業でも、研究でも、さらにはご自身の人生のテーマ。
両親が台湾出身、自身は京都生まれの京都育ち。
ある時まで自分は「日本人か台湾人か?」という「か」で悩んでいた。
台湾で日本人医師として仕事をする中で「日本人であり台湾人である」ということの価値に気づいた。
医療の意思決定をするのは誰か?
「患者か医師か」という「か」の議論が多い。これをいかにして「患者と医師と」に変えることができるか。Shared Decision Making:対話による協働的意思決定が重要である。
Informed consent(IC)は決める会議
Shared Decision Making(SDM)は決めない会議
さらにICとSDMはどちらかを選ぶものではなく補完し合う関係にあり、意思決定のタイプにより使い分ける必要がある。
「AIか医師か?」という議論があるが、「AIと医師」に出来なければ意味がない。
認知科学における重要な概念 System 1とSystem 2
臨床推論におけるSystem 1 とSystem 2の協働
高校生の頃は「社会のぞうきんかイノベーションか」と誤解していた。
「社会のぞうきんとイノベーション」に気づいた。
新しいアイデアはコミュニティやネットワークの中心メンバーではなく、意外と周辺にいるメンバーによりもたらされることが少なくない。
社会の辺縁にいながらそこに眼を向けることも大切。
「と」とは、物ごとの境界領域に目を向け、行動すること。
矛盾したものにも目を向けないといけないことがある。
「お金儲けか社会貢献」を「お金儲けと社会貢献」にいかに変えていくか。
渋沢栄一「論語と算盤」であって「論語か算盤」ではない。
社会の雑巾たる洛南の卒業生こそが「か→と」に取り組むべき。
BonBon株式会社 BonBon | 感情と情報を結び、あたらしい医療をつくる (bon-bon.co.jp)
ビジョン:Gamify Medicine 「医療をゲーム化し、医療にかかわる人に感動と喜びを」
医療における課題:直感「か」論理
楽しみながら実践できる健康のための行動変容のツール開発
チーム:フルタイムメンバー12名中5名が洛南卒業生
「心の血圧計」の研究開発
業務と教育を結びつける演習アプリの開発
「生きるか死ぬ」→「生きると死ぬ」
「か→と」を目指す
最後に本日ご参加のみなさんにとっての「か→と」は何でしょうか?
私は配信会場におりましたが、会場にいたすべての人達がぐっと引き込まれる素晴らしいご講演でした。
最後には恒例の校歌斉唱で締めくくりました。
今後、国内国外で新型コロナウイルスワクチン接種が進むと予測されますが、感染状況や医療ひっ迫の状況は予測できません。来年はぜひ皆様とリアルにお目にかかれることを祈念しております。
今回は医療分科会設立から22年目、21回目の開催でした。医療分科会役員会で協議の結果、昨年予定していた第21回は開催中止、今回の総会・講演会を第22回とすることといたしました。山本先生のご講演でタイトルスライドが第21回になっておりますが、先生には第21回でご案内していたためです。表記が混在していたことお詫び申し上げます。
(文責 細田正則)